区面積の7割が満潮位以下のゼロメートル地帯となっている江戸川区。
大型で猛烈な台風が接近・上陸に伴って、万が一、荒川、江戸川の堤防が決壊した場合、江戸川区はもとより、江東5区の人口の9割以上の250万人に浸水の被害が起こります。人口・資産・情報・交通機能が集積した首都圏に与えるダメージは計り知れないものがあります。
SNSも活用し、ホームページでも多くの防災に関する情報を発信している江戸川区役所様に、これまでの課題とIT活用のメリットについてお話を伺いました。
江戸川・荒川の大河川や海に囲まれた河口に位置する江戸川区は、かつての地下水汲み上げによる地盤沈下の影響も加わり、区面積の7割が満潮位以下のゼロメートル地帯と呼ばれる低地であり、洪水はもとより、区内全域が高潮による浸水被害の危険にさらされている地域です。
これまでも数多くの水害を受けており、1947年のカスリーン台風による洪水や1949年のキティ台風では高潮により区の大部分が浸水するなど、大きな被害を受けた歴史があります。
このような状況から、江戸川区役所では危機管理室を設置し、水害のハザードマップの配布・公開などを通じて、水害への備えや起きた場合の対応をはじめとした啓蒙活動を進めています。
2019年10月に発生した大型で猛烈な台風19号では、新中川以西に避難勧告を発令し、小・中学校や区民施設105箇所を避難所などとして開設。およそ3万5千人が避難しました。
台風19号での連絡がエマージェンシーコールを導入して初めての本格利用だと仰います。その際の利用について詳細をお聞きしました。
「台風19号の際は、荒川上流域で200年に1度の雨に相当する予測が出て洪水の危険が高まったため、急遽避難勧告を決定しました。災害対策本部を開いて職員を招集する際、その招集をエマージェンシーコールを使った緊急連絡で通知したのです。避難所開設の指示からおよそ4時間という速さで避難所の開設が完了しました。
災害時における大規模な避難所開設は本区では初めての経験でしたが、エマージェンシーコールのおかげで、とても早く伝達ができたため、それが避難所の早期開設に繋がりました。」と危機管理室 主査の長島様は仰います。
「連絡事項の伝達に利用するのが主旨ですが、その際に区長自ら『従事者の皆様へ』として職員一丸となってこの難局を乗り越えていただきたいというメッセージを発信しました。
どうしても長期戦が強いられる避難所の従事者の対応に、これが確実に職員に届く手段なのでエマージェンシーコールでのメッセージ発信が有効だと考えたのです。」
多くの企業様でご利用いただいているエマージェンシーコールですが、対応者への激励メッセージの送信は珍しいケースといえます。
メッセージには具体的な指示とともに「区民の生命を守ることを第一に、適宜交代で休憩等を取りながら、職員一丸となってこの難局を乗り越えていただきたい。皆さんのご協力をお願いします。」と綴られていました。
江戸川区はゼロメートル地帯であり、かつ河川が多いことから、埼玉県、群馬県、栃木県に降った雨水が集まってきます。このような特徴をもつ江戸川区としての防災について今後の課題を伺いました。
「まずは今回のエマージェンシーコールがまさにそうですが、ITをうまく使いこなすこと。情報の伝達はエマージェンシーコールが繋がるまで100回リトライしてくれますし、全体を把握するためのデータのグラフ化なども集計機能を使えば出来てしまいます。ITがやってくれることに職員の工数を割かなくてよい状況になれば、次のアクションに早く移ることができると考えています。」
台風19号を振り返り、江戸川区のホームページ内にある区長のメッセージとして、力強い一文が掲載されていました。
「本区に綿々と受け継がれる他人を思いやる温かな心、そして地域力で乗り越えた災害だったと改めて振り返るとともに、今後も一人も犠牲者を出さないという強い決意のもと、災害対策の強化を図っていきます。」
更なる災害対策強化を進める江戸川区様の活動を、インフォコムはITを通じて全力で支援してまいります。
「エマ―ジェンシーコール」は、事業継続計画(BCP)を実行するうえで必要な「従業員の安否確認」、「指示事項の伝達・確認」を支援します。