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2014
05/22

トリアージについて

ともみさん(長女)の記事

大規模災害が発生した場合に、トリアージという言葉がよく使われます。これについて考えてみたいと思います。
トリアージとは、大量の負傷者が発生した場合に、診察をする順番をつける事をいいます。言いかえると、「小さな怪我は我慢してもらって緊急性を要する人を助ける」発想であり「全ての患者を救う」という医療の原則からすると全く当てはまらない事象です。医療のキャパシティが十分にあれば、トリアージをする必要もないという事になります。つまり、お医者様の数が足りないのでトリアージをするという事ですから、トリアージをする人にお医者様の手を使っていると本来の医療業務が出来なくなってしまいます。その為、一般の人でも、教育や訓練をすることにより、ある程度の手伝いが必要になってくるのではないかと思います。

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トリアージが必要な現場というと、例えば、巨大地震や船舶・大量な自動車事故・航空機・鉄道事故、テロリズムなどで、大量に負傷者が発生し、受け入れる医療のキャパシティが足りない状態になり、医療を施すことが出来ない患者が必ず出るという、極限状況でのみ使われるものです。診て頂く順番を決める事にお医者様を使っていては本末転倒となりかねません。逆に、災害の規模が対応側のキャパシティを超過しているかどうかを一切考えないで、単純に「トリアージは災害医療で必須である」「トリアージは重傷者を見捨てるもの」だとする考えが増えているようですが、これは間違った考え方です。

また、重篤な状態の重傷者よりも軽傷者の方が苦痛の訴えが多く、本当に重傷な人は苦痛の訴えをすることさえ出来ない場合があり、優先度判定を惑わせる場合があります。また、家族や軽傷者本人が優先度判定に疑問を持ち、不信感を持ち、現場での治療の妨げやトラブルの原因となる場合があります。
日本で採用されているトリアージタグは、偶然または故意の行為によってタグがもぎ取られることで、評価の重度を大きくする可能性があり、その点も考えておかなければなりません。トリアージは、あくまでも、最悪の状態になった場合の措置であり、そうならない為の準備というものも考えておく必要がありそうですね。

トリアージには一般的に、START法とPATによるトリアージの2つの方法があります。

START法

START法による診断フローチャート。救助者に対し傷病者の数が特に多い場合に対し、判定基準を出来るだけ客観的かつ簡素にした物がSTART法です。これは、救急救命室で用いられる外傷初期診療ガイドラインで日本版にて、プライマリー・サーベイで用いられるABCDEアプローチに基づいたものとなっています。

具体的には図のようになっています。

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緑の場合でも状態の悪化がないか絶えず観察をする事が必要です。
歩けるかどうかは、口頭の答えをだけでなく介添え無しに本人に立たせて歩行出来るかどうかを確認します。
呼吸の回数は、災害医療においては、所要時間短縮のため、6秒間で呼吸数を計ります。
手首の脈を診るとき、ショック状態が疑われる場合(脈が弱く速い、皮膚が冷たく湿っているなど)は赤を選択します。
爪床圧迫法、CRT(Capillary refilling time:毛細血管再充満時間)とは、第一指の指先を圧迫し、白くなった部分が赤く戻る時間を計ります。
意識レベルでは、簡単な指示(例:「手を握ってください(ただ手を握らせるのではなく、きちんと話すことが出来るか確かめる)」「誕生日を言ってください」など)に従えるかどうかによって判定します。

この方式は腹膜刺激症状やクラッシュ症候群などの病態を無視しています。詳細な状態観察とトリアージが継続されることを前提としています。クラッシュ症候群を前提とする場合は、判定の最上位に『2時間以上挟まれていたか?』を加える事が必要です。

PATによるトリアージ
Pediatric Assessment Triangle(PAT)を用いて患児の概要を評価し,その後に,意識状態,心拍数,呼吸数,体温,酸素飽和度(SpO2)などを用いて5つのトリアージレベルに分類することです。PATはA,B,Cの略字で代表される3つの要素から構成されており,AはAppearance(外観・見かけ),BはWork of Breathing(呼吸状態),CはCirculation to Skin(循環・皮膚色)を表しています。ABCの項目にはそれぞれ小項目が存在し,診察者はその小項目に異常があるかどうかを判断し,1つでも異常がある場合には「PATの異常」として対応し,トリアージレベルをIII以上とします。

参考文献 : トリアージ研修会 http://www.hanshink-kodomoqq.jp/iryou/community/kenshukai/5kawamura2.pdf

医学書院          http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02865_02

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