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2018
08/20

効果的な訓練を目指して  ~齋藤 實先生の遺訓より

おとうさんの記事

9月1日の防災の日に備え、8月~9月にかけて多くの企業や公共施設等で防災訓練が予定されていることと思います。
私も多くの企業様から訓練支援のご依頼を頂いています。そこで今日は、齋藤 實 先生のお話しの中から訓練についてお伝えしましょう。

齋藤先生は2006年4月~2011年3月、総合防災部情報統括担当課長を務められ、新型インフルエンザ対策として、「対応マニュアル」や「都政のBCP(新型インフルエンザ編)」を策定、新型インフルエンザ(A/H1N1)の発生の際には、感染症対策本部や各種対策会議を適時・迅速に開催するなど、危機管理部門の実務責任者として活躍。東日本大震災時には、都災害対策本部の広報班の責任者として、プレス対応等を担当するなど、リスク対策のプロとして活躍されました。それでは、先生が書かれていたコラムからご紹介します。

【日本の防災訓練は形骸化している】
日本では、地震や台風といった自然災害に見舞われることが多いことや、消防法に基づく行政や消防署からの指導もあり、ほとんどの企業や病院・施設などで防災訓練が行われています。

これまでの訓練の多くは、予定された時間に必ず責任者がいて、必要な指揮を執り、必要な資機材もあらかじめ用意され、各参加者は何分後に何を実施するか決められており、何分後に火災発生、初期消火、避難誘導など、あらかじめ定められたシナリオに沿った行動が行われています。

このような訓練では、次のような問題点が指摘されます。

○参加者が固定化し、参加意識も低く、形骸化している
○訓練のねらいが不明瞭である
○訓練回数が少ない
○勤務時間中の訓練で、夜間帯での訓練をしていない
○訓練シナリオに沿って行動しているだけである
○電気、通信等が停止した想定の訓練はしていない
○訓練の実態とマニュアル等とが合っていない
○訓練で得られた教訓等の記録や、改善がされていない 

こうした「シナリオを読み上げる訓練」または「シナリオに沿った行動訓練」を繰り返し行っても、実際の災害にはあまり役に立ちません。災害は訓練で想定していた通りに発生するのではなく、想定しない事態が発生することが多いからです。

【訓練目標を明確にする】
貴重な時間を使って訓練をするのであれば、より実践的で、かつ実効性が上がるようにするために、参加者には細かなシナリオを与えず、想定外の事態にどう行動をすべきかを考えさせる必要があります。 

シナリオがない訓練では、次から次と起こる想定外の事態に対し、参加者があわてふためいたり、どうしてよいか分からなかったりして、多くの課題が明らかになります。

実際の災害時における失敗は命取りになる可能性がありますが、訓練ではいくら失敗してもそれが後々役に立ちます。想定外の事態が起こった時にどのように行動したらいいのかを理解し、失敗しながら覚えていくことが大切です。多くの失敗例や問題点が明らかになる訓練が、良い訓練といえます。 

「訓練でできないことは、災害発生時にできない」ことを、十分理解しておいてください。
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■出典元
リスク対策.com 「おかしくないか? 日本の防災対策」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/1503

Diamond OnLine「危機管理最前線」from リスク対策.com
https://diamond.jp/articles/-/98924

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