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定期的なBCP見直しのポイントと頻度・時期

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BCP(事業継続計画)は策定して終わりではなく、その後の見直しが非常に重要です。事業継続計画(BCP)文書を見直し、内容の更新や問題点の改善を行うことで、より緊急時に機能性するBCPへとアップデートしていくことができます。

ここでは実効性の高いBCPへ育てるための見直しポイントについて詳しく解説します。あわせてBCPの見直しを実施する頻度・時期、見直しに必要なチェックリストの作成方法についてもご紹介します。

BCPの見直しを実施する頻度

BCPの見直し頻度は、企業の考え方や方向性によっても異なりますが、基本的には1年に1回以上行うことが推奨されています。企業を脅かすリスクや取り巻く環境は変化していくなか、定期的な見直しを実施しないと、有事の際にBCPが機能しない危険性が高まるためです。

最低でも1年に1回はBCP全体を見直す機会を設け、事前対策の進捗状況や問題点を整理し、内容を更新していきましょう。効果的にBCPを更新または維持していくには、見直しのスケジュールを定めるなど運用方針の明確化も必要です。

BCPの見直し時期

年に1回の総点検の時期以外にも、BCPの見直しが必要なタイミングがあります。以下で見直し時期の例をご紹介します。

組織体制に変更があったとき

組織の人員や役割など体制に変化があった際は、BCPの更新が必要です。たとえば人員の異動があったり、業務の役割分担や情報の共有方法が変わったりした場合は必ず見直しを行いましょう。

事業で使うシステムやネットワークの変更、新しい機器が導入されたときなども人員の体制が変わる場合があるため、BCPが実情に沿っているか必ず確認してください。同時にBCPの内容を組織の全員が理解しているかのチェックも必要です。

事業内容に変更があったとき

企業成長に伴って、事業の作業内容や業務プロセスなどに変更が生じる場合もあるでしょう。このようにBCP策定時と状況が変わった場合は、見直しを行う必要があります。

特にBCPで重要と位置づけた中核事業に変更が生じた際、早急に見直しを実施しないと、緊急時の事業継続に影響が出る可能性が高まります。また、新製品やサービスを新しく開発したときなどは、優先すべき中核事業が変化する場合もあるため、同様に見直しを行ってください。

事業や企業を取り巻く環境に変化があったとき

取引先やサプライチェーンに変化があったときは、自社内でも人員や業務プロセス、生産ラインに変更が生じる可能性が高いでしょう。これらの変化が起きたときには、事業を継続するために必要な経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)にも変更があるかもしれません。また、取引先の変更に伴い、緊急時の連絡先も更新する必要があります。

そのほか取引先などから自社のBCPの体制に関して、変更の要望があったときも同様に見直しを行いましょう。

ガイドライン改訂や法改正があったとき

業界のガイドラインの改訂、国や自治体におけるBCP関連の法律の改正などは、自社のBCPに大きな影響を与えます。

たとえば2024年7月には、内閣府の「大規模地震発生に伴う帰宅困難者等対策のガイドライン」が改訂されました。同ガイドラインではかねてより、混乱を防ぐための一斉帰宅の抑制を呼びかけていましたが、帰宅可能となったタイミングでも、待機していた人々が同時に移動を開始すると二次災害の危険性が高まるため、新たに「分散帰宅(時間や移動手段の分散)」の基本原則が追加されました。このような変更にあわせたBCPの更新は、安全配慮義務を遵守することにもつながります。

参考:大規模地震の発生に伴う 帰宅困難者等対策のガイドライン|内閣府(防災担当)

連絡先などの変更があったとき

安否確認や事業継続に必要な連絡先リスト類は、常に最新の状態である必要があります。従業員の入職や退職など、人員に変更があったときは連絡先も変わるため、その都度速やかに見直しと更新を行いましょう。取引先の連絡先が変わったときも同様です。

そのほか、備蓄品を入れ替えたときもリストの更新を行ってください。

BCP訓練後

BCPの訓練後は、計画の見直しを行う絶好の機会といえます。訓練で議論を交わしたり、実際に体を動かしたりすることで、新たな課題が見えやすくなるためです。訓練に加え、抽出した課題を分析し、内容の改善・更新を行うというサイクルをまわすことで、実効性の高いBCPへとアップデートできます。

効果的な見直しを実施するには、訓練と振り返り・改善をセットで考え、事前に訓練計画を立てることが必要です。

実際にBCPを発動したあと

災害など事業を脅かすリスクが発生し、実際にBCPを発動したあとは、さまざまな反省点が見えてくるはずです。この経験を活かし、見直しを行うことで、緊急時に機能するBCPへと育てられます。

実際に帝国データバンクの「能登半島地震の影響と防災に関する企業アンケート」では、社屋の一部の損壊や、材料が納入できなくなったことによる工期延長など、自社に影響を与えた事例が紹介されています。こうした課題を解決していくことが、次に起きるかもしれないリスクの備えとなります。

また、別の地域で大規模な災害などが起きたときも、自社が巻き込まれた場合を想定してBCPを見直すと安心です。

「はじめてのBCP」で事業継続計画の基本を学ぶ
自然災害、感染症といった複合的なリスクが高まる現代において、企業が事業を継続・再開するための計画であるBCP(事業継続計画)の策定手順を解説。

BCPの見直しポイント

最後に、BCPを効果的に見直すためのポイントを解説します。

見直しチェックリストを活用する

BCPの課題抽出、更新を正確に行うためには、BCPを見直す項目を独自に定めたチェックリストを作成する方法がおすすめです。

見直しチェックリストの作成には、中小企業庁で公表している「BCP取組状況チェック」の資料が役に立ちます。「災害が起きた際、従業員と連絡がとれますか?」「社長が不在の場合、代わりに指揮を執る人員を確保していますか?」など、人的資源や物的資源(モノ・カネ・情報)、体制などに関してチェック項目がまとめられています。

参考:1.3 BCP取組状況チェック|中小企業庁

あわせて、「自社の商品やサービスに大幅な変更に生じたとき」「人事異動があったとき」など、見直しを実施する基準も決めておきましょう。

事業の優先順位を改めて確認する

緊急事態発生時は経営資源が限られるため、すべての事業を継続するのは現実的ではありません。そのため優先順位を定めて、もっとも重要な事業の対策を行いましょう。

特に、前回の見直しから時間が経っている場合は、状況が大きく変わっていることが予想されるため、改めて自社で重要な業務や取り巻くリスクなどの分析が必要です。分析結果をもとに計画の見直しを行うことで、より現場で役立つBCPに育てられます。

また、BCPを見直した結果、改善すべき項目が多岐に渡る場合も、優先順位を決めて効率よく対応していきましょう。

BCPチェックリストの過不足は必ず見直しを行おう

緊急時に事業継続を即座に実施するため、BCPや復旧手順書を簡潔にまとめたBCPチェックリストを作っている企業も多いかと存じます。BCPの見直しを行う際は、当然このチェックリストも更新・改善が必要です。

実際に現場で使われるのはBCPチェックリストのため、常に最新状態であることが求められます。まずはBCPの内容が網羅されているのかをチェックしましょう。実際にBCPチェックリストを使って現場で検証を行ったり、他社の失敗事例を参考に見直したりする方法も効果的です。

BCP訓練後は即座に振り返りを実施する

BCPの訓練を行ったあとは、なるべく早く反省会を実施することで、より正確に課題や問題点を抽出できます。当日または翌日に行うのがベストです。遅くとも一週間以内には実施しましょう。

BCP訓練の担当者や実行メンバー、参加者ではそれぞれ課題を感じる視点が異なるため、反省会は全員で行うことが必須です。反省会に参加できない方に対しては、別途アンケートを実施すると、全員の意見をもれなく拾うことができます。

経営者による見直しを実施する

必ず経営者による見直しの機会を設けることが必要です。BCM(事業継続マネジメント)事務局が見直しの進捗状況と課題を整理し、改善の方向性などを経営者に伝え、判断を仰ぐようにしましょう。自社の経営戦略や次年度の予算決定のタイミングと連動させつつ、最低でも年1回は実施することが求められます。

また、経営者がBCPの進捗状況や課題について従業員に話す機会を設けることも大切です。経営者自らがBCPに積極的な姿勢を見せることで、社内へのBCPの浸透を促進します。

BCP策定後は必ず定期的な見直しを

実効性の高いBCPに育てるには、策定後の定期的な見直しが必要不可欠です。BCPを策定する際に、必ず見直しの基準やタイミング、頻度などのルール作りを行い、効果的にBCMを運用していきましょう。

また、見直し後に内容を更新・追加した場合、関連マニュアルやBCPチェックリストのボリュームが増えてしまいがちです。現場で問題なく活用するには、誰でもわかりやすくシンプルにまとめることが必須のため、更新する際は見やすさのチェックも行ってください。

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阪神淡路大震災をきっかけに開発した緊急連絡/安否確認システム「エマージェンシーコール」の販売を通じ、お客様の危機管理に関する様々な課題をヒアリング。その豊富な知識とノウハウをコンサルティングやコラムに展開。

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